寿湯の入浴記

所在地 西院西寿18-2(市バス西大路松原・中ノ橋五条下車、佐井西通万寿寺通角)
休日 日曜日
営業時間 15:00-23:00
湯上りの感想
規模・座席数 工場群の中に憩いの銭湯、17席+シャワー無し2席。
普通の湯船 深い湯船、浅い湯船はジェット。湯温調整カランは無し。
サウナ 脱衣場側、5名程度、BGM無し、マットを敷いて入る。
水風呂 大きめ、冷たい。
ジェット風呂 1基、浅い湯船
電気風呂 体にジンジンとくる感じ、電気板に腰をつけられる軽さ。
泡風呂 ジェット1基付き。
印象 2000年12月
西院で早めの夕食をとってから南下する。河原町に比べて雑多な印象のある西院界隈。それもそのはず、西院を南北に突き抜ける西大路通は戦前の都市計画道路であって、近世からの歴史が感じられる河原町などと比べたら風情もへったくれもない。

しかし、現代を生きる私たちにとって想像するしかない歴史を含んだ町より、実際これまで生きてきた「昭和」という時代の手垢がついた西院のような町の方が懐かしく、ちょっと気恥ずかしい思い出が溢れ出てくる不思議な感覚に見舞われる。

今回行った寿湯さんは西院から南西に10分ほど歩いたところ、アパートと工場の町の中。一筋西に行くと島津製作所五条工場の広大な敷地が見える。典型的な昼間は騒がしく夜は静かな町。夕方、寿湯の店先に立つと近くの工場でリフトを動かしている音がせわしなく聞こえる。

寿湯はそんな工場街にポッと一輪咲いたような風情・・、かというとそうではなく、界隈の景色にしっかりとけ込んだ工場ビル。裏手に回るとコンベアにコトブキ運送と書かれたトラック、銭湯以外にも手広く経営されているようだ。

中二階のような場所に暖簾が掛かってあるのでスロープを上り自動ドアを開ける。

下駄箱


下駄箱ロッカーの隣に傘ロッカーがあるのが珍しい。あれは結構奥行きをとるからスペースに余裕がないと設置できない。

そしてその下駄箱の上にこんな注意書が。
典型的な泥棒さんが「今日もいいはきものにありつけたワイ」と言っている。

この銭湯至る所にこんなちょっとひねった看板が掛かってある。
洗面具持ったか?タオルあるか?と看板が尋ねてくるのである。
フロント式で「コトブキ」という制服を着たおばちゃんが迎えてくれる。女湯は一階、男湯は二階。フロントの前にロビーがある。
自動販売機にアイスクリームの冷蔵庫。
テレビの前にめちゃくちゃ座り心地の良いソファーに毛足の長い絨毯。そして本棚に整理整頓されて並んでいる雑誌類。コロコロ、ジャンプ、現代、サンデー、その他諸々。だだっ広い空間にゴージャスなロビーセット、ただ者ではない。

男湯へは傾斜の緩やかなスプロールのようなZ型に曲がった階段を上る。なんと赤絨毯が敷いてある。二階の脱衣場はこれまただだ広く中央のテーブルの上にマッチと灰皿。風呂上がりのおっさんがただ黙ってタバコをくゆらしている。機械音が姦しい外界とは隔絶したゆっくりとした時間が流れている、ボケッとしていたら30分なんてすぐにたちそう。
ロッカーはオシドリ。駅の看板広告のようなでかいスクリーン壁紙に青々しい庭園の写真。
浴室にはいる。ビル銭湯なので湯気抜き天井ではなく長方形な空間。中央に複合風呂、手前にサウナと水風呂。
ただただ広くて静かでかすかにブーンと機械の動く音だけが聞こえる。
湯上がりに脱衣場でボケッとしていると一階から姦しいおばちゃん連中の会話が漏れ聞こえてくる。ふぅ〜、男の哀愁を感じるなあ。
こんなユニークな銭湯もなかなかお目にかかれない。