蜂ヶ丘温泉の入浴記

所在地・交通 太秦乾町13-6 (JR太秦駅徒歩10分、市バス太秦開日町徒歩5分 )
休日 月曜日
営業時間 16:00-23:00

印象・規模 前栽の松がお出迎え、外観も内観もフォルムが美しい社交場銭湯。カランは横楕円型鏡で外側10+男女壁側9+1の計20席。
湯船・お湯 浴室中央に手前から浅風呂、深風呂、ジェット泡風呂と3つの湯船が長方形に並ぶ。浴槽枠とカラン台の赤御影に統一感があり、浴室全体の色調を引き締めている。浅風呂の底は砂利タイルの中に鯉が4匹泳いでいる。
サウナ スチームサウナ。浴室奧の釜場に抜ける扉の横に同じ大きさのサウナの入口、間違えないように(誰がやねん)。3人くらいのスペース、桜色の壁がきれい。
水風呂 脱衣場側に張り出しているタイプ、打たせ水あり。
ジェット風呂 浴室中央のジェット3基と底から泡の浅風呂。
麦飯石風呂 外の看板に麦飯石風呂と書いているのだが、浴室には表示がない、左奧の深風呂がそれだろう。
電気風呂 ザブンと肩まで浸かると、両肩がジーンと温まる感じがちょうどいい。

感想 2004年6月

宇多野吉祥院線の支線に当たるのか、双ヶ丘の交差点から嵐山辺りまでから太秦の町を縫うようにして走る道路がある。地元の人以外はどこで曲がればいいのかすぐに分からなくなるようなけったいな道なのだが、よく見るとなかなか味がある。『建築MAP京都』にはでてこないまでもユニークな形のマンションやよくデザインされた文化住宅があったり、町歩き中級者以上には楽しめる町並みである。


蜂ヶ丘温泉はその道から少し南に入ったところにある。この銭湯はある人に地図を書いてもらって行ったのだが、そこには「その道からプログレスと書かれた茶色の看板を目印に南に曲がる」とある。私は、看板見落とさないかなと心配しながら現地に向かったのだが、・・すぐに見つかった。地味ながらものすごいインパクトのある看板に思わず笑ってしまった。


この銭湯は駐車場や畑があり見晴らしのよい角に位置するのだが、少し離れたところから見ると非常に外観のフォルムがよい。煙突と看板とのれんのバランスが絶妙なのだ。それに前栽から店の前まで横に伸びた松が趣を添えて、入る前から期待させる。


のれんをくぐると玄関、下足箱に雪駄を入れて木のカギを抜く、男湯は左側だ。引き戸の向こうは番台式、籐ムシロに、おっとレトロな籐かご。脱衣場中央には上に籐ムシロを敷いた箱形の床几が備え付けてあり、たばこ盆を囲んで片足をのせた常連客4人がビールを飲んでいる。この「たばこ盆を囲んで床几に片足をのせる姿」というのは浮世絵になりそうだ。


数か所に鶴の絵をあしらったカジュアルな格天井、あまり段差がない浴室前にはチューリップの電灯が下がる。浴室の床は亀甲紋タイル、男女壁のタイルは印象派っぽいデコタイルでバラの花をあしらう。奧の電気風呂の壁には大輪の赤い花。浴室内の印象は、赤御影のラインがスッキリとした端正さ。


訪れたときはまだ夕方で薄緑の天井の採光窓から入る太陽光が心地いい。やっぱ、銭湯はおてんとさまが頭の上にある間が一番ぜいたくだ。湯上がりはぶら下がり健康機とジュース。飲み物の冷蔵庫が、コカコーラの平台ショーケースなのがそそる。個人的には縦型冷蔵庫より平台がそそる、そそられ、そそりつつ。夏のいい天気、裸でサイダーを飲みつつ前栽の向こうを眺めていたら、あ、道行く女の人と目があった。