2004年8月 木曜日22時
西大路七条を上がると東にサカエ、西にライフとスーパーが向かいあってしのぎを削ってたのが、サカエが2004年3月で閉店しちゃった。あとに何が入るのかがこの界隈のウワサの的。
そのライフの裏というか、西大路七条一筋西上ルの衣田湯。大通りから一筋入れば静かな住宅街、向かいが理髪店。前栽をブロック塀で囲んだ造りで男女ののれんが別々に掛かっている。のれんの上のすりガラスに御婦人、殿方と書かれたのが昭和レトロ。看板を見やると「三段式ジェット風呂」に「ブロアー風呂」、入ってみないと分からないネーミングの楽しさ。
玄関スペースは異様に広い。左右の前栽分の奥行きがあるのだ。メーカー名がない木製下足箱に番台裏の木製傘箱。傘をたてに入れてフタをしてカギを閉める珍しいタイプでオシドリ製。レトロ好きにはこの玄関を見るだけで動悸ドクドクのオススメ。男湯は右側、引き戸の向こうの番台も年期もの、年配のご主人が中からお出迎え。
玄関のレトロさに比べると白壁紙の現役感が漂う脱衣場、上に置き桶がズラリ並んだロッカーは正方形で大きめの折り鶴マーク。福助、招き猫の銭湯アイテムが小さくてかわいい。柱に巻かれた鏡にも広告入りなのは銭湯がコミュニティーの中心だった往時の面影。ロッカーの上のテレビではイチロー速報、今年のイチローにはついつい目がいく。
浴室前スペースは2段差。浴室は天井の重心が奧にあって入口部分が別屋根のよう。壁は長方形の白タイルで普通なのだが、床の緑タイルが印象的。浴室の左右奧三方をぐるりと巻くカラン台は大柄のマーブルピンク、浴槽枠はベージュタイル。浴槽配置は中央に浅い泡風呂と深風呂の主浴槽、入口右に薬用ジェット風呂、入口左に水風呂、奧右に電気風呂というノスタルジックな配置。想像するに薬用ジェットが看板に書いてある「三段式ジェット風呂」なのか、これについては突っ込まないでおこう。深風呂はしっかり熱くて、3分ほど入ればサウナがなくても満足の暖まり。
中央に浴槽があると浴室をぐるりと見渡せる。鏡広告はやけに理髪店が多く三分の二以上。男女壁には大きめのパネルが等間隔にはめ込んであり、今は普通のパネルだが中で照明がついたりする仕掛けがありそうな雰囲気、まさかマジックミラーじゃないでしょうね(笑) 湯上がりは前栽を眺めて一服、ご主人の趣味なのか植木鉢がたくさんあって、あの木はなんていうんだろう。その植木鉢に囲まれたところにほこらがあって拝むことができるようになっているのも面白い。営業時間が23時までなので急いで入ったのだが、23時過ぎにも入ってくるのは「常連時間」。
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