稲住湯の入浴記

所在地・交通 下京区梅小路西中町60
休日 金曜日
営業時間 15:00-0:00

印象・規模 近くの稲住神社にもどうぞ、活気あるレトロ銭湯。中小規模、男湯は左、番台式、15席(うち7席はシャワーなし)。
湯船・お湯 浴室中央に戦艦型の複合浴槽、手前から浅風呂、深風呂、寝風呂。深風呂は熱め。
サウナ 浴室奧の男女壁側、3人程度、タオルが敷いてある。
水風呂 浴室奧外側、ライオンが打たせの位置に。
ジェット寝風呂 ジェット2基あり、複合風呂の奧の浴槽枠が出っ張って枕になっている。

感想

2004年8月 水曜日23時

稲住神社中央市場から西の七条通はなかなかいい味出している商店が連なるちょっとした商店街。その片側アーケードがとぎれる七条御前の交差点を南に400メートル歩くと右手に稲住湯。稲住湯の右の路地を進むと屋号の由来にもなる稲住神社がある。今をときめく安倍晴明が祭神のこの神社、境内に魔王尊の社があり夜に訪れると提灯の明かりが夜の暗さを際立たせて住宅地の一角とは思えないほど神秘的。(写真にあるように「魔王尊」の提灯の光だけが見える夜はゾクッとする。しかし、地蔵盆の日に通りかかったら近所の人が和気あいあいと宴会、いろんな顔があるんだなあ)

稲住湯さてさて、町家風の民家に木造モルタルの付け足し玄関スペース。その前にアサガオなどの鉢植えが置かれる季節感。おっと、猫がゴロリンと寝そべっている、驚かさないようにそろりと横を通る。男女別ののれんが風に揺れる、開放的な玄関だ。コンクリート土間に上がりがタイル、鶴亀下足箱の上には招き猫や大入り額のほかにもたくさんのオブジェが並ぶ。男湯は左側、引き戸を開けると番台。この番台がスリスリとさわりたくなるほどいい味のレトロ番台で、小振りで左右の囲いがなくベンチのような開放感、一度は座ってみたいと思わせる逸品。

全体的に小さめの銭湯で、脱衣場も小振りなのだが天井は高く、黒茶の天井や柱と白い塗り壁のコントラストが「京都のお風呂屋さん」。ちょうどアテネ五輪を中継していたテレビはハイビジョンの迫力で柔道の金メダルを絶叫、、テーブルには漫画雑誌に日刊スポーツ、週刊現代と豊富、ソファーでくつろぎの友には生ビールも。ヤシマのひやしあめ、ローヤルサニー、シーホープなどのお風呂ドリンク満載の冷蔵庫の横に生ビールサーバーがある。おつまみも豊富でやんす。ロッカーは素朴な木製でSTARKINGのカギ、石田の体重計。

浴室前スペースは2段差、上部は格子欄間で和風。浴室は中央に浴槽、左右がカランのレトロ京都型。特徴的なのは床に削り模様が付いた赤茶色のタイルが敷き詰められていること、赤茶の床とは珍しい。天井を見ると細い波状天井で湯気抜きが超ビッグ。浴槽枠は石風タイルで壁は白いうわぐすりを散らした焼きタイルに藍色の模様がアクセントに。

カラン台はワイン色のタイル、取っ手には宝ロゴ、台が狭く桶が置けないタイプ。イスがない(少ない)ので、どっかと腰を据えて洗う。隣のじいさんは姿勢がいい、洗う姿は人柄をあらわすなあ。と、目の前の鏡広告、パチスロの広告なんだが「よく出る風呂屋の湯の様に」とイケてるキャッチコピー。カランが故障したらすごい皮肉になるでよ。

浴槽は男心をくすぐる軍艦型、手前が楕円形で奧の寝風呂の枕がせり上がっているフォルムは美しい。寝風呂好きの私としては真っ先に寝風呂に入ろうとしたのだが、う〜ん、サイズが合わない。ちょうど155〜160センチの人なら快適空間になりそうだ。私が入ると足を折り曲げないと、足を伸ばすと腰が浮くのでち○ちんが水上にぷかり、「わーい、潜望鏡だ〜」って遊んでる場合じゃない。目の前では常連が浅風呂に2人入ってワイワイ楽しんでいる。

店先の看板に書いてあるように女湯はスチームサウナ、「美容にはやっぱりスチーム」とは、気さくに話をしてくれた奥さん。女湯には薬用風呂があるのだが、以前は海藻風呂も試行錯誤したとか。80年ほどの歴史がある稲住湯、鉢植えや壁に掛かる絵額に気遣いが感じられるアットホーム銭湯だ。