白川湯の入浴記

所在地 北白川下別当町14(市バス北白川小学校前・白川志賀越通)
休日 水曜日
営業時間 16:00-23:00
規模・座席数 富士山のモザイクタイルが鮮やか銭湯、20席+シャワーなし1席。
普通の湯船 浴室中央に浅い湯船、深い湯船。深い湯船は高温深風呂で、かなりの熱さ、京都で一二を争う。
水風呂 脱衣場に張り出す形で。脱衣場が見渡せるガラス張りだが、そのガラスの曲線が実験カプセルっぽくていい。ライオン口。
ジェット風呂 中央の浅い湯船に2基、鶴亀ブランドの超音波温浴泉。
印象

2001年1月入浴

白川湯

今年はじめて雪が積もった。こんな日はなぜか友達と銭湯に行く。慣れない雪道を自転車で走って、転けそうになりながらワイワイやるのが楽しいのである。河原町通なんかはそうでもないけど、白川通の歩道は歩く人が少ないらしく雪が凍り付いて結構恐い。白川湯は白川通を志賀越道に曲がったところにある。角にガソリンスタンドがあるのですぐに見つけることができる。志賀越道は下鴨大津線に入り、京都市の北部から琵琶湖への最短距離の道、いわゆる「山中越え」に通じる。こんな雪の積もった日は大変危険なクネクネ道だが、ひっきりなしに車が通る。大丈夫かな。

白川湯2暖簾は銭湯浪漫。木製の引き戸を開けると玄関で、これまた木製の傘入れが時代物。男女は暖簾から別れており玄関でも敷居がしてある。番台を通って脱衣場へ。左京区、北区の銭湯は夜になると若者で一杯だ。ベンチの数が少ないので立って新聞読んでいるお客もいる。その姿が通勤電車風でおかしかった。新聞は2紙取ってます。折り鶴ロッカー、レトロな籐籠、重厚ではない時代感。男女壁沿いにベンチ。浴室前はカラフルなタイル使い。黒砂利をタールでかためたような床や彩色タイル調、緑のタイルが印象的な入口壁、水風呂がせり出していてカプセルっぽいのが独特の雰囲気。

中央に赤線が入った引き戸を引いて浴室にはいる。寒い日でもあり湯気で真っ白だが、奥の壁には男女の浴室にまたがる巨大モザイクタイル絵があり、題材は富士山と松原。男湯には富士山があるが女湯は違う山? 中央の湯船に浸かりながらぼんやりとした湯気の向こうに見えるモザイクタイルを見たら、タイルの目の粗い表現方法がちょうど良く、夢見心地なのである。カランは三方向に設置されているのでこぢんまりとした浴室のわりにシャワー付きが20席と充実している。熱めの深い湯には足だけ浸けて、ぼんやりとしているお客が多かったのが印象。雪が積もって足の先まで冷えちゃったんだろう。珍しいのは天井の湯気抜きが男女別々に小規模なものを備えているってこと。初めてみた。

友達が帰り際、番台のおばちゃんに「おおきに、さようなら」と言われて「銭湯でさようならっていわれたん初めて」と言っていたが、そういえばそうだなぁ。向かい理髪店、パン屋、両隣は酒屋と雑貨屋、地域コミュニティ。

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追記
2003/05/13

掲示板でももりんさんが廃業の情報を投稿してくれた。今まで、廃業するからといって急いで入りに行くなんて邪道だと思っていた。銭湯は地元の人のものだから、特に最後の日は一見の客は行くべきじゃない、なんて。
でも、もう一度、自分が書いた文章を読み返してみるとなんだか懐かしさがこみ上げてきた。よし、仕事帰りに行こう。市バスに揺られてみると、ほんの2年ぐらいなのにずいぶんと白川通り沿いの店並みも変わっている。
最後の日だから感謝の気持ちを込めてお金はいただいてません、と言われて2年半振りに入る客は恐縮した。ぽつりぽつりと思い出を語りに来る常連さん。私が常連なら最後の日はどうあいさつしていいのか分からないから、きっと来ないだろうな。通りすがりの客は無責任で楽だ。
ああ、いい湯だ。以前はたまらなく熱かったお湯だけど、ボイラーの調子なのか最後の日はぬるめだ。今日の昼は精華大学の女の子がモザイクタイルを写真取りに来たよ。お疲れさまでした。ありがとう。常連さんの置き桶があった場所には張り紙が「どうぞ洗面器をお持ち帰りいただきますようおねがいいたします」、もう必要ないもんね。

思い出はたどればぶつかるもんだ。帰り道、今出川通で懐かしい顔に出会った。今は大阪に住んでるんです。また機会があれば、公演でお会いしましょう。お疲れさまです。