牡丹湯の入浴記

所在地・交通 大阪市住吉区帝塚山東4-8-6
休日 第2,4木曜日
営業時間 14:00-0:00

印象・規模 木の暖かみがある脱衣場で時計の時報を聞く風情。カランは10席(うちシャワーありは8席)。
湯船・お湯 男女壁沿いに、上がり湯、深風呂、浅風呂。

感想

2004年9月 木曜日17時

牡丹湯市営住吉住宅の北側に位置する牡丹湯。大阪市内では古い民家が多く残る界隈だが、ひときわレトロモダンの外観が光る。ファザードは洋館風だが後ろに回ると瓦屋根の和風建築といういわゆる「看板建築」だ。「牡丹湯」の屋号は一文字ずつの木製切り抜き看板なのは感動的。隣は理髪店。

玄関は広めの大阪型、オシドリ下足箱、男湯は右側。脱衣場は格天井、漢数字が書かれた木製ロッカーのカギは留め具に「用心」のオシドリ旧型、そのロッカーが壁一面に並んでいるので脱衣場は茶色一色に。浴室前の壁上部には戸棚に福助人形、IUCHI SCALEの体重計、脱衣場中央には背もたれ付きの長いすが背中合わせで置いてあり、火鉢の灰皿が横に鎮座する。生活臭がない、確信犯的にレトロだなあ、と思っていると「ボーン、ボーン」と音がする。番台の上を見るとSEIKOSHAの壁掛け時計が17時の時報を鳴らしている。いやはや恐れ入りました。

浴室前は枠のみの段差なし、浴室は高い天井に長い湯気抜きが開放的、床は石板敷きで目地に水色市松モザイクタイルをあしらったタイプで縦横に排水溝を切っている。男女壁沿いの中央に弁当箱を半分に切った形で並ぶ湯船の枠は石作り、細かいところはモザイクで洋風モダン。鏡広告が上下2段になっているのは住吉界隈の銭湯によく見られる風景、浴槽に浸かっているときによく見えるよう配慮か。上がり湯は板でフタをされた古風なもの、中をのぞくとお湯が入っていない。上がり湯として水とお湯を自分の好みで調節して使う人は今ではほとんどいないからと番台の大将。そのかわり、水の立ちシャワーがある。風情のありすぎる銭湯だから、さぞや古くからと思いきや45年前の建物、木材が不足していた時代で廃材を使って建てたらしい。