玉の湯の入浴記

所在地・交通 中京区壬生下溝町31
休日 金曜日
営業時間 15:00-23:00

印象・規模 往年の極楽系モダン銭湯。壁側にカラン10+島カラン10+男女壁側に3+浴室奧の浴槽前にシャワーなしの島カラン10、と変則的な並びになっている。
湯船・お湯 男女壁沿いに手前からシャワービックス、ターニングバス(複合ジェット)、深風呂、ジェット泡の浅風呂。ターニングバスと深風呂の間にリンゴ型噴水。
サウナ 脱衣場側に2段ベンチで最大8人程度、テレビ付き。
水風呂 サウナ隣に大きめ、浅い部分と深い部分に分かれており、奧には打たせ水(私が行ったときには使われていなかった)
ジェット風呂 四方からジェットが横向き噴射、てすりを持たないと横にずれちゃう人間洗濯機的な、これが「ターニングバス」?
電気風呂 浴室奧、横長で浅い深いがある、ジーン型とモミモミ型が2つ!
薬用風呂 浴室奧、バスクリン風呂。浴槽が低く、浸かると浴室全体を上目遣いで見渡せる。ジェットと泡風呂兼。

感想 2004年6月月曜日の23時

三条通から南に七本松通り(中新道)を下がるのが好きだ。住宅街を過ぎると東に日本写真印刷の大きな工場があり、その長く続く塀が「ザ・工場」という感じでいい。向かい町は中小の印刷工場もチラホラ残って下町の趣。四条通をまたぐと京福嵐山線の踏切が見える。1筋東の筋では高架だった線路が地面に下りてきた。ここら辺になると壬生文化圏、壬生京極商店街の看板が見える。

松原通まで下がると道路が拡張されるが、ここが中京区と下京区の境目、その松原通を西に3筋行くとレトロな理髪店があるからそこを北に上がる。すると大きな石塔に付けられた看板に屋号「玉の湯」、となになに・・・「ターニングバス」「レインボーバス」「香水風呂」!!おお極楽系のでかいモダン銭湯だ。隣はお約束の理容店。ここらは西新道錦商店街にあたるらしい。あたりの電信柱には新選組をモチーフにしたのぼりがはためく。


店の前は駐輪スペース、アーチ状の付きだし屋根の奧にかかったのれんをくぐると横に広い玄関スペース。上を見ると「ジゴクオンセン」とカタカナで書かれたプレート。ここは地獄か極楽か。男湯は右側、引き戸を開けると大きめの番台が鎮座、銭湯の規模に比例して番台もビッグです。ここの脱衣場、特筆すべきは番台の前、男女壁沿いに池があって、灯籠、きんぎょとくればそりゃもう風情?! 折り鶴のロッカーは壁側だけでなく、くの字型に奧へと続き、そこにはドライヤースペース。鏡台ごとに3つの別れているこのスペースは天井や柱のムーディーな洋風照明の印象と相まって、ポマードの香りがしそうな大人の空間。全体的にヨーロピアンな雰囲気をうまく和風と折衷した昭和テイストでナイス。


2段差を上がる浴室は、入口右に脱衣場に出張る形でサウナ、それから水風呂。浴室入口のガラスなどは緑の背景に多数の円を蜂巣状に描いた柄で統一されている、ひょっとして玉の湯だからたくさんの「玉」なの? この浴室、普段よく見かける京都の銭湯とどこか違う趣、カランの置き桶台がちょっと高めだったり、シャワーと鏡のない昔風のカラン台が並んでいたり、そのカラン台や浴槽枠にふんだんに使われた赤御影がゴージャスで私を非日常に連れて行く〜。


脱衣場側の壁上部にはタイル絵(モザイクではない)が描かれており、男湯は北山杉をバックに竜安寺とおぼしき石庭と五重塔、そこに御所車の車輪カットが描かれている京都グラフィズム、女湯には富士山と桜があるらしい。その反対側、浴室奧には、細長い棒タイルを配置し鶴の形にくり抜いた立体的工芸タイルで、極楽系。浴槽自体が低めに作られてある浴室奧のバスクリン風呂はタイル絵をはじめ、何かと立体的でグラフィカルな浴室を眺めるベストポジションだ。


天井のゆげ抜きが男湯にほとんど入っており、女湯の奧には付け足しスペースがあるらしい。この形の銭湯はたまに見かけるが、この左右対称でない場合、天井の重心が男湯にあるのが多いのはなぜか。閑話休題、外の看板にあった「香水風呂」というのはそのレイアウトの違う女湯にあるのでしょうか。謎が謎よぶ玉の湯さん。カラン数のわりにイスが少ないので地べたにあぐらをかいて体を洗う人が多い、私は結構好きだな、地べた。