柳井湯の入浴記

所在地・交通 南区西九条開ヶ町18
休日 無休
営業時間 15:30-23:00

印象・規模 男女にまたがるタイル絵がパノラマ!な絶景銭湯。番台式、男湯右側、カラン15席(シャワーあり8+なし2+島カラン5)。
湯船・お湯 脱衣場左に出張ってスチームサウナ、入って右に水風呂、男女壁沿いに手前から薬用泡風呂、深風呂、浅ジェット風呂、電気風呂。
スチームサウナ 6名程度、丸タイル。
水風呂
ジェット風呂 浅風呂に2基あり。
薬用泡風呂 ぬるめ
電気風呂 バリバリドクドク複合型

感想

2004年9月 日曜日16時

柳井湯

西堀川通(近鉄京都線の高架線)と札の辻通の交差点から一筋西を上がったところの柳井湯。周囲は住宅街で、のれんの前に数メートルの空きを設けた柳井湯の店先は町のコミュニティスペースといった感じか。「乳母車・自転車駐輪場」と書かれた屋根付きスペースの壁は町内告知板になっている。ぐるりを塀で囲った外観、男女別にかかったのれんをくぐって玄関スペースと・・、なんと、今まで見たことのないような光景。

のれんから続く屋根のあるスペースには横向きの傘入れと下足箱が並んで男女を仕切り、床は板張りになっている。普通、玄関は壁で仕切られた閉鎖的な空間なのだが、ここ柳井湯では、壁がなく前栽と一体になっていて日光が差し込んで開放的、履き物を脱いで右手の庭を眺めながら廊下をつたうという露天風呂旅館のような造りになっている。その庭には池があり本物の(タイルではなく)錦鯉が泳いでいる。

番台は大きめで男女の中央に出入り口があるタイプ。脱衣場に入って一番に目に飛び込んでくるのは浴室前スペースの上部に男女にまたがって左右一杯に描かれたパノラマなタイル絵。うわ〜、坪庭とパノラマタイル絵のはさみうち、なんて視覚に訴える銭湯だ。湯上がりはタイル絵を眺めようか前栽を眺めようか、まいっちんぐマチコ先生。画題は富士山バックに帆掛け船、女湯側は筏流し。天井は格子が大きい格天井に小さめのシーリングファン、ヤマトの体重計、オシドリロッカー。うん? ロッカーは9個しかない。常連はかごに入れてそのまま棚にしまっているので混んでくると脱衣場一杯にかごが・・。ロッカーが少ないわりに常連の貸しロッカーは多めと地元密着ぶり。

浴室前スペースは3段差、タイル絵を間近でみると縁取りのモザイクや中華のなるとマークもなかなか。浴室は男女壁沿いに浴槽群があって反対側にカラン、中央に島カランという京都スタンダード。扉や浴槽の間には手すりが付いてあり、高齢者への気配りも。天井はクリーム色、壁は白タイル(男女壁はそれにストライプが入る)、浴槽枠やカラン台はムラうわぐすりのあい色レンガタイル、浴槽側面は目地が特徴的な柄タイル、床は茶色とベージュで。浴槽内の水色タイルのところどころに花柄を仕込んでいる細かい工夫にちょっと感心。変わったところでは壁側中央のカラン台の上に壁に窓が付いていること、浴室に窓があるのはなかなか見ない。

さてさて、スチームサウナに久々に入った。スチームサウナの醍醐味は、定期的にスチームが吹き出してきて一気に暑くなるのを何度かしのぐ緊張と緩和。この温度の高低を味わうのは乾燥サウナにはない楽しみ。湯上がりの雑誌も豊富で庭を一望できる板間の縁側ベンチに座ってくつろぐ。女湯のついたてには保津峡下りのエッチングガラスがはめ込まれてある。もとは1対あったのが片方が割れたので亡くなったご主人がついたてに仕立てたそうだ。なんでも坪庭の鯉もそのご主人の趣味だったそうで、昔は浴室の男女壁を挟んでそれぞれに半円状の水槽を配し(上からは円形に見える)、本物の鯉を泳がせていたとか。ご主人が中に入って掃除したというから豪勢なものだ。いや〜、堪能させていただいた。見る目に楽しい柳井湯、ちなみに読み方は「やないゆ」が正解、「やなぎいゆ」だとウナギ犬みたいになっちゃう。