九条湯の入浴記

所在地・交通 南区東九条中御霊町65
休日 木曜日
営業時間 15:00-23:00

印象・規模 加納典明が撮ったこともある路地銭湯。番台式、男湯左側、カラン25席(シャワーあり11+なし8+島カラン6)。
湯船・お湯 脱衣場に出張って水風呂、浴室中央に深浅の弁当箱型主浴槽、奧右から薬用泡風呂、電気風呂、ジェット風呂、その横にスチームサウナの付加スペース。
スチームサウナ 7名程度
水風呂 ライオン
ジェット風呂 2基あり、超音波風呂。
薬用泡風呂 サンパルコ酵素風呂、バックの壁面が岩積みで岩風呂の趣。
電気風呂 ジーン型

感想

2004年9月 月曜日22時

上・中・下京区の銭湯は全軒入浴したので最近は南区に足を伸ばしている。まだ半分も入ってない時点の予断だが、唐破風に格天井といった規模の大きなレトロ銭湯が多い印象がある。今回の九条湯もその中の一軒。竹田街道九条の交差点「大石橋」を南に一つ目の信号を東に細い路地を入ると看板が見える。本当に細い路地なのでぼんやりしてるとたどり着けないですぞ。

立派な和風建築に唐破風、その前に玄関スペースが後付けされており、左右の塀で囲まれた部分は坪庭で脱衣場からは池に鯉が泳いでいるのが見える。左横の奧を見ると太い、しかし先細りしたユーモラスな煙突がそびえている。のれんをくぐると非常に低い玉石タイルの上がりがあって、その水色はハッとするほど鮮やか。傘入れと下足箱はキング。男湯は左側。

番台は脱衣場より一段低いところにあり、たたき土間時代の名残り。側面がデコレートされた木製の番台は物販品置きにされており、その前のイスにご主人が腰掛けている。目線はお客さんと同じ、というのが京都の銭湯の基本らしい。と、番台の中に面白いものを発見、なんとテレビが仕込まれているのだ。番台専用のマイテレビ。番台の上にテレビがあるのは見たことあるが、番台の中に仕込んでそれを外からのぞき見るタイプはここが初めて。

脱衣場は折上げが付いた格天井に男女の仕切りに欄間が入る立派なもの。壁はベニヤで覆われているが、シーリングファンがゆらゆら揺れるのは風情。浴室前スペースの上部にはモザイクタイル絵がかかる。男湯側は五重塔を遠景に湖の畔でぼんやり眺める舞妓さんの後ろ姿、女湯は海に帆掛け船が浮かぶ風景。あ、男湯の方がええわ(笑) 置き桶棚やかご置き棚が一体になったユニット的なロッカーはキング、金の招き猫。坪庭を眺める手前の休憩スペースにはベッド型マッサーとベンチ、大丸の体重計。

浴室前スペースは2段差、出張っている水風呂を囲む形でくの字型に洗面台が並ぶ。浴室は前後に広くゆったりしている。左右にカラン、中央手前に深浅の区切りが噴水の弁当箱型主浴槽があり、その奧に島カラン、奧の壁に沿って設備風呂群が並ぶ。とくに薬用泡風呂は壁面に石積みしてあり雰囲気がある。天井は前後のアーチ、奧の浴槽スペースは平屋根になっており天井は白モザイクタイル。壁は白タイルで天井付近に藍の模様ラインが入るタイプ、浴槽枠は緑の焼き付けレンガ風タイル、側面はベージュの模様タイル、床は白茶のくさび模様タイル、カラン台は大理石風の石。

スチームサウナは広くて、ストレッチなんかに最適? たっぷり入ってふやけた〜。客層は当然年配の方が多いが、閉店間際には駆けつけの若者もちらほら。最近、ミーツリージョナルの別冊にモザイクタイル絵が紹介されたようで一見さんのお客も増えたという。奥さんの話によると加納典明が写真集の撮影に九条湯を使ったことがあり、脱衣場やスーチームサウナで榎本三恵子がヌードを披露したという。ちなみに榎本三恵子、私は知らなかったのだが、ロッキード事件公判で検察側の証人として田中角栄の5億円受領を裏付ける衝撃的な証言を行った「ハチの一刺し」で有名な人らしい。1983年の写真集だが、浴室や脱衣場は当時のままの姿で今も営業している。