扇湯の入浴記

所在地・交通 北区平野宮西町33
休日 土曜日
営業時間 16:00-23:00

印象・規模 住宅街の路地を入る家庭的な銭湯。カラン7+シャワーなし1+島カラン(鏡なし、シャワー付き)4+上がり湯カラン1。
湯船・お湯 男女壁沿いに浴槽群、手前からジェット浅風呂、ジェットすわり風呂、深風呂、薬風呂と続く。
ジェット風呂 浅風呂タイプが2基、土踏まずとふくらはぎ刺激付きすわり風呂が1つ。
薬用風呂 パリスバン本舗の酵素風呂。

感想 2004年6月の金曜日22時半


碁盤の目、京都の道なりを地図で見ると、中心街から外れるにしたがって真っ直ぐだったのが曲がったり行き止まりになったりしている。そこに山があるから・・、だったら普通なのだが、そこに寺や道路が付けられた当時に権力を持っていた家があったり、ただ単に道路を造る金がなくなったからだったりするのが歴史の面白いところだ。


南は九条通から北は平野神社まで真っ直ぐに伸びている西大路通りが大北山の山並みか、わら天神かはたまた金閣寺の敷地をよけるために東に寄れるのだが、扇湯はちょうどその辺り。西大路通りが東に寄れなかったらそこを通っていただろうと思われる鏡石通り沿いに看板が出ている。


その鏡石通りは、江戸時代の名所記に登場している「鏡石」が大北山のふもとの衣笠鏡石町に残っていることからその名が付いた。山すそにある鏡石は鏡のように平らな面の石、むかし大地震で岩盤が地下でずれたときの跡が長い年月をかけて地表に出てきたものだという。


通りの歴史はこれくらいにしておいて、扇湯。看板は出ているけれども店が見えない。住宅街のゆるやかな坂路地を奥に進むとコーヒー豆屋の隣に隠れていたのれんが現れる。この路地を歩くとき、上を見上げると目の前に煙突がそびえてなかなかいい景色だ。


建物から張り出した玄関スペースで鶴亀ロッカーに履き物を入れて、右側の男湯へガラガラ(スルスル?)引き戸。番台の上の方にテレビがあって浴室側の上に神棚がある。どちらかといえば、浴室前の上にテレビがあるのが京都のスタンダードなのでちょっと珍しい。そういえばこの形式の場合、番台からテレビを見れるように鏡を置いているところもあるが、扇湯はそうでないみたい。


KINGロッカーに石田式体重計、前栽側にドライヤーが備え付けられた化粧スペースがあり、テーブルとイスがある。テーブルの上にはフライデーと朝日新聞、家で新聞を取ってない私にはこの上なくうれしい。天井は・・おっ!私の実家と同じ壁紙を使っている。なんだかなつかしい。推測するに改修したのは1985年前後かな。


浴室前は平坦だが、浴室が一段上がっている。浴室は大きめの落ち着いた色遣いのタイルで統一されており、いたってシンプルにコンパクトにまとまっている家庭的な雰囲気。天井の鮮やかな青色が印象的。客層は、立命館大学の正門から一番近い銭湯なので、学生を期待していたのだがそうでもない。


2004年6月末に廃業された。50年来のご愛顧・・ということであった。