2000年12月
京都市最北端の銭湯を目指す。巡り巡りて上賀茂神社までたどり着く。平安京1200年とは言えども古代を偲ばせるような風景はほとんど残っていない京都において、この上賀茂神社は人間の力ではどうしようもないような雄大な神々しさを感じることが出来る数少ないスポットである。芝生に寝転がって空を見上げる。真っ青で長閑な空、そしていったん雲行きが怪しくなると悪魔が住んでいるような表情を見せる。神様は気まぐれだ。
柊湯は上賀茂神社から御手洗だんご屋、鯖の煮付けが美味しい今井食堂などが並んだ街道沿いを上がると右手にある。少し北に上がると屋号にもなった「柊野別れ」がある。京北への道と美山への道に分かれる。ゆかしい名前だ。外観はオーソドックスなもの、隣は理髪店。玄関床タイルは亀甲紋。引き戸を引いて中に入る、番台は木製のしっかりしたものでご主人がこんばんは、と元気に挨拶してくれる。脱衣場は広めで簡素。玄関側に休憩スペースがあり週刊漫画雑誌。京都産業大学の学生だろうか、若者が多い印象。テレビでは長野県田中知事の所信表明演説。
浴室前のタイルスペースがことのほか大きく、タイルも鮮やか。珍しいことにサウナ室が浴室内ではなく脱衣場側にあるのだ。他地方で見かけたことがあるが、京都市では初めてだったんで興味をそそられる。浴室内は男女壁に沿って浴槽群、手前から水風呂・深・浅ジェットだが、半電球型になっている。女湯の方もあわせると完全な電球型になっているのかしら。浴槽枠はタイル張りのほそいタイプ。
また柊湯の浴室の特徴として、幅10センチほどの溝が全体的に掘っていることがあげられる。珍しい。男女を越えて浴室奥上部一面にモザイクタイル絵がある。一見アルプスのようだがどことなく日本の風景の感じがする。場所柄比叡山を見上げる位置にあるので比叡山かなと思ったので奥さんに尋ねたが、タイル屋さんに任せたから、とおっしゃった。謎が深まる。床タイルはかざぐるま風?
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