滝の湯の入浴記

所在地・交通 東山区松原通東大路西入新シ町133
休日 日曜日
営業時間 15:30-23:30

印象・規模 清水坂にある風情銭湯。カラン10+シャワーなし5席。
湯船・お湯 男女壁沿いに浅風呂深風呂、奧にジェット風呂、脱衣場に出張って水シャワー。
水シャワー 水風呂の代わりにシャワー
ジェット風呂 浴室奧、2基あり。

感想 2004年8月の22時


東大路の松原通を西に少し入ったところにある滝の湯。清水坂の銭湯として上品で艶っぽい大人の香りのする銭湯である。隣の路地の奧にラブホテルがあるところなど建仁寺裏や宮川町のなごりがあるもののずいぶんと落ち着いた町並み。客は以前から女性の方が圧倒的に多い土地柄らしい。


夜のネオンは白地に赤の「ゆ」の看板のみでほのかに照らされた破風造りの前屋根が風情。店の前を囲む橋の欄干様の石柵がいい具合にさざれており、加えてのれんの左右に竹編みの一畳板を立てかけていたり、前栽に細竹で囲んだ手書きの屋号看板を置くなど、ご主人のアイデアも冴えている。


格子窓から脱衣場の明かりが漏れている、牛乳石鹸の夏バージョンのれんをくぐり、ゴツゴツ感のあるレトロなすりガラスに「男」と書かれた引き戸を開けるとたたき土間の脱衣場。この引き戸、重厚だからスマートに引くには何度か通わないといけない。お金を払って下駄を脱いで、脱衣場に上がる。お稲荷さんの神棚はなかなか立派なもの、傘立てはの真ちゅう製丸型だ。番台や男女仕切りの磨き上げられた木の照り具合がナイス。かごは柳行李でガラス窓の木製のロッカーに収納されていて、客はそれを取りだして使う。私は隅のガラス戸が付いてないむき出しのかごに服を入れる。ロッカーはオシドリとキングが入り交じり。体重計は目盛板が上向きで付いているタイプで、私はこれが見やすくていい。横に付いているタイプはだいたい160センチくらいの人を目安に作っているので180センチの私は細かいところまで見えなくて困る。その体重計の前の壁に下着姿の女性の絵が掛かっているのだが、「この絵を眺めて体重計に乗ったら体重増えてるんちゃうか」と下ネタをいいたくなるようなエロチックさは京都一。


浴室前スペースは2段差で、壁から天井に掛けてモザイクタイル仕上げ、水シャワーのブースが脱衣場側に四半円状に出っ張ってるのだが、その壁までもモザイク。浴室に入るガラス戸には「開けたら閉めて頂だい」とフランクなもの言いで注意書きがしてある。はいはい、閉めましたよと、天井を眺めると湯気抜きの大きいペンキタイプ、床はすべり止めの効いた新しい大柄タイル、壁は白タイルだがカランシャワー部に3段にわたって緑のタイルをグラデーション掛けがあるのがアクセント。ポイントとしては、天井の縁や男女壁の上、カラン台の縁などにモザイクタイルでラインを縁取りしており全体に華やかな気分を演出している。


体を洗おうとカランに座ると備え付けの桶がない。私はマイ桶を持ってるからいいけど、滝の湯は上級者向けだな、あなどれん。黒いタイルで縁取られている男女壁沿いの浴槽群には石が入っている袋が沈んである。看板に「ラドン温浴泉」かなんか(確かなものを失念しちゃった)書かれていたはず。奧にあるベージュ色の浴槽枠のジェット風呂は石積みの湯流しで風情もある。浴槽が少ない分、じっくりと熱めのお湯を味わう。あと、カランシャワーの勢いがいい、水風呂がなくて残念だったが代わりの水シャワーがなかなか強烈なスパイシーさで満足。


湯上がりにはお風呂ドリンクも。富士の冷蔵庫にはパレード(英字ロゴ)が。なんとなくレトロな空間に自分の体も溶けこんでいきそうな銭湯だ。


※その後仕入れた情報によると、桶を持ってなさそうな一見さんにはご主人が「ここにある桶を使って」と用意してくださっているらしい。なるほどー。