2004年10月 水曜日19時
松原通はスイスイと烏丸から東向きの一方通行、鴨川もなんのその松原橋を一渡り。松原警察を右手に見たらその東隣が千歳湯。温泉マークの控えめ照明看板が京都のお風呂屋さんの趣。和風建築に後付の玄関。店の前に原付を置くのになぜか警察の目を気にしながら・・。
玄関はキング錠の下足箱、個人的に実家の玄関床とタイルが一緒なので郷愁を覚える造り(笑) 男湯は右側、番台は低め、そばに柳行李が立てかけてあったのでそれをひとつかみ、トントン。以前は客一人一人に手渡ししていたんだろう。脱衣場から浴室を眺めて感嘆、浴室の奧に一面のモザイクタイル絵が見える。その手前、浴室前の天井もレプリカひさしがかなり脱衣場にせり出して立体的、圧倒的なグラフィズム銭湯だ。
ロッカーはガラス窓が付いたレトロタイプ、使い込まれた木の色が暖かい。MIYASHITA印のおしどりとキング錠が併用。屋号や常連の名前が書かれた柳行李がロッカーの上に並ぶ。服を脱いでいると「桶はもってはる?」と番台の奥さんが気を効かせてくれた。浴室には備え付けの桶がないので、桶を持ってなさそうな一見の客には声をかけてくれるのだ。日本度量衡機の青いアナログ体重計・大、番台の上には「お盆を持った女中さん」人形。浴室前スペースは3段差、斜めの切り込みが特徴的、脱衣場のかなりのところまでタイル部分が出張ってきており、天井には湯気抜きもある。ちなみに警察の横だからか、脱衣場での盗難はほとんどないのでご安心を(笑) いや、この疑問を聞いてみたかったのだ。
浴室に入るとまず、奧のモザイクタイル絵に目が行く。男女壁をまたいで壁全面に広がる圧巻パノラマ、山中の川で鯉の滝のぼり。昭和30年代後半に愛知県の伊奈からやってきたそうだ。浴槽配置は男女壁沿いに浅・深風呂。奧に水、電気と浅風呂の複合風呂。浅風呂が二つあるのが不思議だったが、入ってみて納得、主浴槽はなかなか熱い、肩まで浸かると「あ〜」と自然に声が出る。熱い湯に浸かりながらタイル絵を眺める楽しみ。電気風呂の微弱ゆるゆるな感じも捨てがたい。浴室枠とカラン台は群青色タイルで落ち着いた雰囲気、同じ色で床にL字型の排水溝が切られていてその交差点に丸型の島カランの造形もいい。浴室入口にはガラスブロックとパール調のダイヤガラス。
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