Archive for the ‘銭湯生活’ Category

銭湯16地下水と水風呂

水曜日, 3月 8th, 2006

日経新聞で「京都で地下水の利用施設が増加・5年間で3.3倍」という記事を読んだ。京都市内で水道の大口利用者を中心に地下水に切り替えることで水道費を削減する動きが進んでいるようだ。京都は俗に「地下にもうひとつ琵琶湖がある」と言われるほど地下水が豊富、市内の銭湯の約9割は井戸を掘って地下水を利用している。

井戸水を使った銭湯、いかにも昔からの伝統というイメージだが、銭湯の大部分が井戸水を使い始めたのはボーリング技術が向上した昭和中期以降のこと。「ワシのところは15メートルで湧いてきた」「うちは150メートルまでがんばったけど出たんは赤い水やった」、井戸を掘るのはバクチだという。

現在、京都の銭湯の水風呂設置率は9割以上で全国一の普及率だが、これも地下水が利用できるおかげである。水風呂に水道水を使用すると夏季は30度以上、冬は10度以下と水温が一定せず水温調整機が必要になる。一方、地下水は年中17度前後と人がサウナの後に入って快適と感じる水温を自然に保つことができるわけだ。

銭湯15入浴マナー

火曜日, 3月 7th, 2006

近ごろの若者は・・と若年層のマナーの悪さに眉をしかめる年配者は多い。しかし、入浴マナーについては戦後数十年で格段に向上したように思われる。関西では前述したように浴槽周りで体を洗う習慣がある。それだけなら良いのだが「浴槽内で体を洗う習慣」も昭和中期まであったようだ。京都府では昭和30年代に「タオルを湯船に浸けないで」という一大キャンペーンを張ってその習慣を駆逐しようとした。現在、湯船にタオルを浸けている人はほとんど見られない。浴場経営者にアンケートをとると「以前は(20年ぐらい前)は浴槽内でタオルで身体をこすっている人をよく見かけた」という回答があった。

現在、若年層の入浴マナーで批判されるのは「かかり湯をしない」ことで、年配者はこれをひどくいやがるのだが、ある人の曰く「かかり湯をしないのはその人の健康には悪いだろうが、現在それほど不衛生でもない。道路が舗装されておらず、1日歩けば体に土ぼこりがついた時代はかかり湯が必要だが、今は道路も舗装され、エアコンも普及していて1日仕事しても汗もかかなければ汚れもしない人が多い。かかり湯をしなければ浴槽の湯が汚れるというわけでもない」。時代によってマナーも変わるということか。できればかかり湯ぐらいはしてほしいのが人情である。

銭湯14京都の銭湯4

月曜日, 3月 6th, 2006

1か月連続でコラムを更新、という目標が達成できたのでこれからはぼちぼちとやっていこうと思う。銭湯について書いていながら普段は家の風呂で済ませているのだが、この週末は京都の銭湯で釜場を見学したり、飲み会で経営者から話を聞いたりする機会を持つことができた。

生き残るためには投資して付加価値のある施設をつくる必要がある。しかし、複雑な配管設備はすぐ故障し、設備投資で首が回らなくなり銭湯をやめていくところもある。結局、普通の湯船しかない老夫婦だけで経営している銭湯がしぶとく生き残るんじゃないかとは笑えない話だ。

銭湯13京都の銭湯3

金曜日, 3月 3rd, 2006

京都の銭湯に話を戻す。京都は昔ながらの番台式が約8割と大多数。しかし、番台に座らずに脱衣所で接客しているところも多い。昭和40年代までの入浴者が多かったころは、脱衣場で子どもの世話をしたり荷物を整理したりする「おなごしゅ」(従業員)が、客が来るとカゴを用意してトントンと床をたたきホコリを落としてから客に手渡していた。そのときに番台に座っていたのは浴場業者の妻がほとんどであった。経営者を含め、男性は脱衣場には出ずに釜場を担当していた。

しかし、客数の減少にともない従業員を雇うことができなくなる。妻が番台での料金の受け渡しもカゴの手渡しも担当しなければならず負担が大きくなった。そこで釜場の自動化で手が空いた男性である主人が表(脱衣場、番台)に回るようになったのだが、それは昭和45年ごろのことらしい。当時、「女は番台というのが習慣だったが最近は混同してきている」 と風呂屋の大将は憤慨している。男性が番台に座るのは京都では経営者側も入浴客側も抵抗があったようで、自然に番台に座らずに(男湯の)脱衣場にイスを置いてそこで接客するようになったらしい。

銭湯12中国の銭湯4

木曜日, 3月 2nd, 2006

中国で銭湯以外の湯船に浸かった2回目、これは安徽省の淮南でのこと。朝4時という時間も省みず淮南で途中下車。駅前で拾ったタクシーの若い運転手の家になぜか遊びに行くことになり、彼の手料理を食べながら(中国人は男性でも料理ができる人が多い)、アルコール度数55度の白酒を1本空けて2人とも泥酔してしまった。

彼の友人のタクシー運転手を呼んで、泥酔したまま遊びに行き、最終的に入浴施設にたどり着いた。看板になんと書いてあったのか、ジャーナリスト魂を振り絞って写真を撮ったのだがすべてぶれていた。ここは健康ランドのような大型施設で、個室があってベッドで仮眠できるゴージャスなところ。都市型スパというべき、大きな浴槽があってジャングルをイメージした趣向が凝らしてある。

しかし、電気やジェットといった付加価値のある浴槽はほとんどなく、主浴槽にも入らずに立ちシャワーブースで体を洗うだけの人が多い。このような都市型スパは中国の沿岸部で近年ブームらしいが、楽しみ方が日本と違うようだ。さっぱりとして風呂上がりに部屋に戻って、脱ぎっぱなしにしていたズボンをはいて気づいた。隠しポケットに入れていた現金がない。日本円にして2万円分、果たして誰がとったのか。彼ら2人は一緒に風呂に入っていたし、「店員に取られたんだから仕方がない」と慰めてくれたが、その慰め方は何かおかしい。