能の見方

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さて、能を見に行こうと思い立ったのはいいものの、何を観たらいいか、どこに行けばいいか、良くわかりません。近くに能楽師、謡を稽古されている知人、はたまた大学で能楽サークルに入ってる友人がいたら問題はないですが(その人の趣味に染まってしまうという意味で後々問題あるかもしれないが・・)、大体そんな知り合いはいないか、いても葬式か法事で会うくらいの遠い親戚であったりして、やっぱり自力で調べた方が早いということになります。
能楽の公演情報を得ることが出来る主なものとして、
  1. 一般情報誌
  2. 能楽情報誌
  3. 能楽堂の置き番組
  4. インターネットのウェブサイト
  5. 新聞の生活情報
の5つが挙げられます。ここで一つ一つコメントを加えたいと思います。
1.一般情報誌
数年前まで関西発売の主な情報誌といえば「ぴあ関西版」「Lマガジン」の二つで、情報量の豊富さとそのマイナー情報への暖かい眼差しで舞台演劇を見るのを趣味とする人は「ぴあ」を愛読するのが定説だったんですが、現在は「関西ウォーカー」「関西一週間」が情報誌業界の両雄だといいます。
実際、流行をチェックしたい時には「関西ウォーカー」「関西一週間」が読み物としても面白いですが、今から古典芸能を観ようというあなたは「ぴあ」を購読した方がいいでしょう。 「関西ウォーカー」の食べ放題情報や「関西一週間」の”女の子が選ぶラブホテル情報”も捨てがたいですが、やっぱり舞台芸能関係は「ぴあ」が充実しています。特に演芸場なんかに行くと「ぴあ」片手に観ている方を良く見かけます。
能楽関係では、以前は公演の紹介が主でチケット発売は少なかったですが、最近は京都観世会主催の例会はじめメジャーな公演のチケットはぴあで購入できるようになったので、まずは「ぴあ関西版」をチェックするのがベターです。
2.能楽情報誌
一般情報誌とは別に能楽専門情報誌があります。
能の各流派には機関誌・流友誌の類があって、「観世」「宝生」「金剛」「喜多」「金春月報」はじめいろいろ発刊されています。
例えば一番公演数の多い観世流の情報を掲載している「観世」の場合は1月号にその年の年間公演情報、7月号に下半期の公演情報を載せていますが、相当な大規模書店か専門性のある書店に行かないと手に入らないので、私は大学の図書館でチェックしています。
まあ、関西圏で実用性があるのは「観世」と「金剛」の2誌でその他は図書館にも滅多に置いていません。
それ以外には、セクターエイティエイトの「KENSYO」という関西の古典芸能を中心とした無料の情報誌があり、能楽堂、ホールなどにおいてあります。
また能楽堂単位で発行している公演情報もあって、関西では京都観世会の月刊「能」(一年間1000円で毎月送ってくれます)はじめ、大阪の大槻能楽堂も年4回発行しています。
3.能楽堂の置き番組
一度能楽堂に足を運んだら、それからは芋づる式に情報が増えていきます。
能の演目や配役を書いた公演プログラムのことを「番組」といいますが、能楽堂のロビーには近日公演の番組やチラシが置いてあります。
とりあえず最初はあるだけ貰い、能の興行がどんなものか雰囲気を掴みましょう。
特に正月(本年度の年間番組)、春先、秋先(催し物が多い)は番組が所狭しと並んでいるので、ねらい目?です。
4.インターネットのウェブサイト
インターネット上にはたくさんの能楽情報が浮いています。
歌舞伎やその他の芸能に比べて観客動員の絶対数は少ないのにサイトの数は能楽関係が一番多いのではないでしょうか?
その原因として、能は稽古文化なので能動的に芸能にかかわっている人の割合が相対的に高いからだ、といえるでしょう。
自分が実際謡い、舞い、演じているものだからサイトでも紹介したい、その心よくわかります。
さて、能楽系サイトには大きく分けて二つの潮流があります。
一つは公演情報を載せているサイト、ファンクラブや能楽師が直接運営しているサイトが多いです。
二つ目は、劇評が主なサイト、「○○さま、きれいだったわ。」みたいなミーハー劇評から、「せっかくの装束を活かしきれず興醒め。」とかそんな辛らつな意見もあったりして面白い。
自分が見に行った舞台を他人はどう見ているのか?、とかこの舞台忙しくて行けなかったけど、どんなんやったの?、という人はここでチェック!
また暇があったら能楽関係リンク集を作りたいと思っています。
5.新聞の生活情報
最近は新聞の芸能情報欄も充実してきました。
関西の新聞では狂言の茂山千五郎家がよく特集されていますし、大阪の大槻能楽堂で毎年上演される復曲公演の劇評なんかも見かけます。喜ばしいことです。
公演情報としては「古典芸能」のカテゴリーでよく紹介されています。
四大新聞ではどれも同じぐらいの情報量でしょうか?調べてないので確かなことは言えませんが。
ただ京都新聞では地元京都の公演はかなりの確立で網羅されています。
一時、私が能を一週間に二回ぐらい見倒していた時期があって、能楽堂に行けばいつも知合いに遇うのですが(狭い世界だから)、「こんなマイナーな無料公演には知合いもこーへんやろ。」と安心して行っても、やっぱりばったり遇ってしまうのです。
ある時「なんでこんなマイナーなん見にくんの?」と自分のこと棚に上げて聞いたらば、京都新聞に情報が載ってたから、と言われました。京都新聞の地元欄は要チェック!!