3月31日の日記で「聞いてみたい!」と書いた桜川唯丸『ウランバン』(廃盤)を某図書館でなんとか無理して借りる。バックにスピリチュアル・ユニティを入れたワールドミュージックごった煮で非常に聞きやすくなっている。1991年発売、その当時の音だなという感想。私は謡曲から日本=アジア的発声に興味を持ちはじめたので、あくまで本芸を見聞きしたく現代的アレンジは好まないのだが、良いものを広く世の中に知らせたいという企画姿勢には脱帽する。
唯丸師匠の櫓姿をビデオで見たとき、この人はヤバイ!とわくわくした。たとえば初代高橋竹山の津軽三味線を弾く姿を見たときの「触りきれない」感と同種のモノ。隔世の感、もうなんというか違うのである。このアルバムは聞きやすいながらも、阿呆蛇羅経やデロレン祭文など江州音頭が取り込んでいった前近代的な芸が随所に残っていて感動的。それを唯丸師匠の個性がグルービーで心地よいものにしている。音頭はほとんど知らないのだが今までやわらかい声しか聞いたことがなく、こういう発声、喉を詰めた硬い声は逆に新鮮だ。マイクのない時代は硬い声でないと遠くに聞こえなかったはずでやっぱり音頭はこの声でなければ。
また、唯丸師匠の音頭に対する思いが素晴らしい。公式サイトによると「あの暑い夜空の中で踊り子さんと、音頭取りさんとがSEXをする。そんな雰囲気を醸し出すのが音頭取りの役割と思います」。そう、セックスだ。私もついつい、「そう、これはもうセックスなんだよ」と言ってしまうタイプなので非常に共感する。