会社で仕事が一段落、ブラウザーでニュースをチェックしていたときのこと。ある歌のフレーズを思い出したので、Googleの検索窓に「同じ YELLOW じゃないか」と打ち込んだ。何回か検索し直したのち、「YELLOW WASP」にぶち当たった。これか? 興奮した。
もう十数年前の高校生時代。一夜漬けの試験勉強をして夜も明け白んだころ、ラジオから聞こえていた歌声とその歌詞にグッと心に突き刺さった。途中から聞き始めて最後もフルコーラスではなかったので記憶が定かでないが、「日本に住む外国人の若者が、不良の日本人に差別され、袋だたきにされる」という話で「同じ黄色人種じゃないか」というニュアンスのサビだった。なんだか心が熱くなった。いつの放送だったかも忘れてしまったので、自力で探すしかない。私は在日朝鮮人のことを歌っていると思い込んで、レコード屋では朝鮮系のインディーズ歌手のCDを探し続けた。インターネットで検索できるようになってからは前述の「同じ YELLOW じゃないか」的なキーワードを、ふと思い出しては打ち込んでいたが、かれこれ20年近くになる。
その思い焦がれた曲が、小山卓治という歌手の「YELLOW WASP」(だと思うのだ)。家に帰り、youtubeで繰り返し聞いた。今も聞きながらこの文章を書いている。「殴られて必死に逃げて迷いこんだ袋小路」「どうしてそんな目で見るんだ、おまえらも黄色だ、みんな黄色じゃねえか、同じ黄色じゃねえか」。うん、歌詞はこんな感じだ。在日朝鮮人ではなく、中国残留孤児2世の話だったのだ。声や曲調は、記憶との違和感があったが、何度も聞いているうちに・・・、うん、これだ! というか、こんな内容の曲、ほかにない。
歌詞はこのページに
小山卓治のウェブサイト
「YELLOW WASP」についての小山卓治さんのエッセー
WASP(ワスプ)は、ホワイト・アングロサクソン・プロテスタント(White Anglo-Saxon Protestant)の略。YELLOW WASPは「黄色い白人」、つまり、黄色人種なのに同じ黄色人種のアジアの他民族を一段下に見ている日本人(しかも中国残留孤児はまさに同じ日本人なのにもかかわらず)を皮肉った言葉だと思う。この曲のモチーフになった事件は1989年に起こった。ちょうど日本人が繁栄を謳歌していた、その時代背景で「YELLOW WASP」の告発は差し迫った問題だったのだろう(「名誉白人がいい気になってら」とTHE BLUE HEARTSが 『平成のブルース』で歌ったのも1989年)。
過激な歌詞なのでカセットテープで発表された以外は正式に発売はされず、インディーズレーベルでリリースされたのは2001年になってからだという。